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自走式空想会社:クルーシブル

二匹の空想生命体・トビスケとまほそがファンタジーを創ったり、おいしいご飯を食べたりするブログ。

第一夜と第二夜のはざま:いい飲み仲間だ、の本。

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第一夜と第二夜のはざま:いい飲み仲間だ、の本。




 アシュレが、本来は保存すべきであった茹で鶏の存亡を賭け、騎士として厨房に向かういっぽうで、夜魔の姫:シオンは酒蔵から瓶に移してあったアルコールを見つけ出す。

 シオンはイスにちょこんと腰掛けると、見つけたアルコールをひと嗅ぎして確かめ、手近なゴブレットに注ぐ。アシュレが仕事を終えるまで、これで凌ごうという構えだ。
 シオン的にはどちらに転ぼうと空腹を満たせる条件をアシュレに飲ませたわけで、すでに上機嫌だ。
 ラーメンも、チキンも好物なのだから、悪かろうはずがない。

 

 シオンが着席した、その卓上には冊子が一部、置かれていた。
 タイトルにはこうある。


 『いい飲み仲間だ、ハチミツ酒を飲もう!』


 シオンは、なにげなくその冊子を手に取り、パラパラとめくり始めた。




「ほう。この酒、ワインではないのだな」
「ん? なんか言ったかい?」
「いや、ワインかと思ったのだが、これな――ミード(蜂蜜酒)だ」
「飲んでるの? すぐできるのに」
「十分はかかるのであろう? それまでこの寒々しい厨房で、ひとりぼんやり待つのはバカらしいと思わんか。それにちょうどよい感じの冊子もあるではないか」

 □『いい飲み仲間だ、ハチミツ酒を飲もう!』
(表紙イラストは:吉井徹さん)

「これはミードの解説本だな――ほう、なかなか、よくできている。特徴的なミードを選抜して解説してくれているから、似た傾向のものと出会ったとき、知識をフィードバックさせやすいな」
「ああ、これ、こないだイズマのところに遊びに来たスカイリム島の女戦士が、お土産にくれたものらしいよ」

 □超高級サバ缶とともに

「六時間くらい、絶え間なく飲み食いしていたな」
「楽しそうだったね」
「酔っぱらった揚げ句に、カードゲームでこてんぱんに負かされたらしい」
「イズマらしいや。……ところで、シオンはミードにも詳しいの?」

「わたしの生まれた国:ガイゼルロンは北方だろう? 
 日照量も気温も、ブドウには厳しい。勢いワインはほぼ全て人類圏からの戦利品――強奪品か、輸入に頼ることになる。
 だから、ガイゼルロンで酒と言えば本来的には、このミードになるのさ――スカイリム島というのもまた、ずいぶんと北方なのだろうな」

「別時空とかなんとかかんとか言ってたけど?」
「?」
「?」

「まあよい。しかし、いま飲んでいるものもなかなかよいぞ。
 これはローズヒップが浸してあるのだな。ローズヒップ由来のよい薫り、ザクロの実を思わせる色合い、気持ちのよい酸味が全体を引き締めていて、上等の果実酒のようだ。うまい」

「ワインのように渋味を構成する要素が少ないから、飲みやすいのかもね――それなのに、シオンは普段、ミードを飲まないね」

「故郷を思い出させる。……色々あるのさ、酒のチョイスと言うヤツにはな。
 おお、この本、つまみにも触れているのか。漫画もある。
 
 なるほど――目玉の飛び出るような値段で手の届かぬ専門書から入る前に、こういうガイドが手元にあると、これはよいかもな。
 楽しむことから始まっているのも、好感度が高い。実際、蜂蜜酒を扱う酒屋の店頭に欲しいくらいだ。こういうのは、愛なくしてはできんことだぞ」


 □美しい紙面

「ボクは、表紙の絵が好きだな――ふしぎな温かさがあって――個性的で」
「アシュレ」
「色彩も、勇気がないと選択できない合わせ方だし。すごいや」
「アシュレ」

「こういう本を作れるひとたちって、すごいなあって――なに?」

「あれ、鍋が吹きこぼれているが――よいのか?」
「うわああああああああ――ッ!!」










 と、いうわけで、インターミッションのインターミッション的お話第二弾をお届けしました。


 このひとつ前のお話:素拉麺への道:前編(もしくは、ただの茹で鶏)で関わらせて頂いた
「てふや食堂さん」の同人誌:「そうめん本」に参加するきっかけを頂いたスカイリム島出身、北方の女戦士こと――梅沢ヤヨイさん発行のミードとスカイリムの本:

『いい飲み仲間だ、ハチミツ酒を飲もう!』

 を紹介させていただきたくて、この項は設けました。

 じつは、ボクらはスカイリムというゲームには触れたことがなく(いろいろ素晴らしいとのお話は伺うのですが)、また、これまでミードも一種類しか飲んだことがありません=作中でシオンの飲むミードはその唯一の体験から書かれています。

 実際、京都に本店を構える「mile mie(ミール・ミィ)」さんを、その生涯一度のミード体験で知らなければ、知識としては知りつつも、飲まずに過ごしてしまったお酒なのではないでしょうか。

 ボクたちが知人から頂いて飲んだローズヒップ入りのものは、蜂蜜が原材料という先入観から抱きがちな粘り気のある感じは皆無で、さらりとして、人工甘味料や砂糖でつけられた甘味とは一線を画する爽やかさを備えていました。
 ツンケンしない、またごり押ししないキレイな酸の裏支えのおかげで、甘みとのバランスがすばらしく、ちっとも飲み疲れしないお酒、という印象が強く残っています。

 そして、二度目のミードとの出会いが(まだ知識だけですけど)、この本とでした。


 ――溢れてる溢れてる、ミードへの愛とスカイリムへの愛が。


 一読して、にっこにこの笑顔になってしまう内容です。

 スカイリムに関して「かなり北方の寒い地域が舞台の、ドラゴンがPVに出てきた(?)、自由度の高い洋モノファンタジーRPG」くらいしか認識がなかったボクらが読んでそう思えるのですから、これはかなりのモノなんじゃないかしらん。

 特徴的なミードの丁寧な紹介とお誘い(解説、というより紹介、お誘いというのが正しいと思います)に加え、それに合うおつまみや、ホットミード、そのほかの飲み方のアイディアが写真付きで紹介され、購入できる店舗の案内まで、充実の内容。

 後半の漫画からも、感じる感じる「ラヴ・パゥワー」を!

「これ、酒屋さんや、百貨店のお酒売り場に置いてくれないかしら」という内容です。

 そうすれば、もっとお手軽に、的確にミードを選べるのにッ。

 そして、ボクらの人生ハもっとミードと供にあったろうにッ
(だーすべーだーみたいな謎のコスプレで)



 そんな感じでトビスケとまほそに血涙を流させたこの一冊、今回の夏コミ(2014)で頒布分があるそうです。

□もっかい、表紙な?


 発行者:梅沢ヤヨイ/ツルカメ 【8/15(金) 東2T-54b 懐中】 委託にて頒布

 とのこと。

 あと、汝、ファンタジーを描かんとするものは、手に入れておいて損はないぞよ?
 酒の描写が、グッと深まると思うぞなもし(今回のトビスケの描写にも反映されています)




 冷やしてよし、温めてよし、オレによし、オマエによし、うんグッド、よしグッド!!
 



 みんなッ、ミードはイイゾッ!!
(ぜんたーい、ときめけッ!)

















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